日本棋院鹿児島県支部連合会の和田博秀さんがヨーロッパの囲碁最大級イベントであるヨーロッパ碁コングレス2024に参加されました。
その感動を少しでも多くの人たちに伝えたい、来年以降参加する人の参考にして欲しい、日本、鹿児島でこういうイベントをやりたい、との熱い想いから記事を作成して下さいましたのでご紹介致します。
なお、画像はもっとあったのですが、ブログの容量のために割愛させて頂きました。
せっかくの素敵な画像の数々ですが和田さんにはお詫び申し上げるとともに、もっと画像をご覧になりたい方は和田さんにご連絡して頂けますようお願い申し上げます。
ヨーロッパ碁コングレス2024に参加して
和田博秀
フランス トゥルーズ 7/26 ~ 8/10
【概要】
今年、第66回目、ヨーロッパ最大の囲碁のイベント、ヨーロッパ碁コングレス2024(EGC2024)が、フランスで開催された(会場は航空大学ENAC。キャンパスは巨大である)。
年1回、ヨーロッパ各国持ち回りで開催される。今年はフランスのトゥルーズ(フランス第4の都市、パリの南700キロに位置する)で開催。期間は、奇しくもパリオリンピックとほぼ同期間7月26日から8月10日、16日間にわたり開催。プロも参加するオープン戦、早碁棋戦、国別対抗戦(団体戦)ほか様々なメニューがあり、参加者は自由に選べる。(これらは、オール互先、ハンディ戦いろいろで、初心者からプロまで参加。全期間参加、前半だけ、週末だけ、これもいろいろ)
今回、参加者数は50カ国近くから1500人を超えた。1957年ドイツでの第1回EGC開催以降最大である。(なお、参加者はほとんどヨーロッパ人だが、日本、韓国、中国、米国等からも参加)
運営はヨーロッパ囲碁連盟でその年担当する国の囲碁の団体が主管する。今回の事務局はフランスだが、他国からも手伝いに来ている。総勢約50人、全てボランティアである。
私は、オープン戦と早碁棋戦に参加した。
オープン戦は、1日一局、朝10時に開始、全ての対局が終わるのは3時過ぎくらいである。10日間対局、私は5勝5敗。1日で終了する早碁棋戦(5局対局)は、50歳以上が参加資格のため参加者は71人と少なかったが準優勝。
【ヨーロッパの選手について】
ヨーロッパの選手は概して若い。しかし、世界アマチュア選手権で日本代表を破ることもあるくらい強い人も多い。「ヒカルの碁」で碁を覚えた人が半数とのこと。
今回参加したのは20級から8段。(なお、ヨーロッパ囲碁連盟が認定したプロ棋士は約10人いる。)私が対戦した内の2人は、元日本棋院院生(フランス人とオランダ人)だった。
制限時間内でよく考える。早打ちの人はいない。対局が終われば別室で検討することもある。
【対局後は】
キャンパス内の広場のあちこちにテントが設営されており、碁を打ったり、会話をはずませたりしている。
また、休憩所もあり、コーヒーやビール、食事などを楽しむ人も多い。
来年は、ポーランド、ワルシャワで開催。
【所感】
対局の時は、真剣である。しゃべる人はなく、石音だけが静かに響く。一局に何時間もかける碁は打ったことがない。対局中は頭が痛くなるときもあるが、終わればすっきりである。サンドイッチなどを持ってテントの中で打っている碁を見たり、打ったりする。観光にも出かける。大聖堂など歴史的建造物も多い。市役所も巨大な絵が多数飾られており見学できるようになっている。(執務には影響がないよう区切られている。)また、街のカフェなどでのワインや食事も楽しみである。
街を歩くといろいろな人がいる。スカーフをかぶった女性、アフリカ系の人、アジアは少なそうだ。男性、女性ともタツゥーを入れている人が多い。5人に1人くらいだろうか。聞くと「アート」という人もいたが、自己表現の自由さは、もとより日本とは異なるし、社会的にも受け入れられているのであろう。
今回のEGCは、私は初めての参加だったが、広大なキャンパスを包む熱気と、笑顔あふれる自由な空気はとても魅力的だった。また、異文化に身を置く心地よさも味わえた。
日本、鹿児島でもやれれば最高である。
左上:対局風景
右上:対局以外でもテントや公園で囲碁を打っている
左下:一色碁
12人の相手をしているのはドイツの7段の選手。びっくりした!
(12面打ちの成績は10勝2敗。名古屋の中村本因坊席主の方からの情報ではこの7段はドイツチャンピオンとのこと)
右下:EGCを運営する人たちは全てボランティア
閉会式ではステージの上にボランティアの方々が上がり、参加者からの感謝の拍手喝采だった!
0コメント